2025年に65歳定年が義務化される!?
- 2021年11月22日 月曜日

こんにちは。社労士の志戸岡です。
今日はお客様からのご相談事例を紹介いたします。
お題は、「2025年に65歳定年制が義務化されるらしいけど、どう対応していけばいい?」というものです。
あれ?何かおかしいなあ、と内心思いつつ、ネットの記事も紹介されつつ相談をうけたので一旦リサーチしてご回答する流れになりました。
2025年に65歳定年は義務化されるの?
結論からいえば、2025年、65歳定年義務化にはなりません。
誤った情報です。
ネットにはたくさん、2025年65歳定年義務化!企業は対応を迫られる!
といった記事が乱立していますが、誤情報のミスリード記事です。
順を追って説明いたします。
高年齢者の雇用に関する法令は、2013年に高年齢者雇用安定法の改正があり、「65歳までの雇用確保措置」が義務化されました。
この時に「継続雇用制度」を導入した場合、同年2013年3月31日までに労使協定を締結すればその対象者を協定で定めた以下のような基準に合致する社員のみを
再雇用することができる、という限定条件を付けることができました。
・直近の健康診断の結果、業務遂行に支障がないと認められること。
・過去〇年間の出勤率が〇%以上であること。
・過去〇年間の人事評価が〇以上であること。 など
この再雇用者を限定することができる措置が、「経過措置」と言われており、この経過措置が完全撤廃されるのが「2025年4月1日」ということになります。
つまり、労使協定を用いて再雇用者の選別を行っていた企業は「希望者全員」を再雇用することが「義務化」されるようになるのが「2025年4月1日」となります。
この経過措置を採用しておらず、既に現行規程で希望者全員の65歳までの再雇用制度となっていたり、もしくは65歳定年制をとっている企業もあるでしょう。
そういった企業では、60歳~65歳までの再雇用者の雇用管理については、
特に2025年に何か大きく変わることは現時点ではありません。
定年に関係して今後注意すべきこと
2025年に定年65歳が義務化されることはありません。
となると、やはり定年後の再雇用となります。
これからは同一労働同一賃金の傾向が強まることで、再雇用者に対する賃金の減額制限(下方硬直性)の強さは増すことが予想されます。
従来は、再雇用者の賃金は従来の60~70%にダウン、という水準が一般的でしたが、この賃金水準のラインもケースバイケースで判断されるようになってくるでしょう。
補足情報:国家公務員法の改正
ちなみに、上記を補完する周辺情報として、国家公務員法が今年の2021年6月11日に施行され、2023年度から、国家公務員の定年60歳(原則)が2年に1歳ずつ段階的に引き上げられることとなりました。
その最終地点が2031年度に65歳定年制となります。
〇参考資料:内閣官房/国家公務員法等の一部を改正する法律の概要
https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/pdf/20210611_r03_61gaiyou.pdf
そのため、2025年4月1日時点では、国家公務員においても、定年はまだ62歳となっており、この状況で全民間企業に定年65歳制が義務化されるのは、流れとしてもありません。
よって民間の65歳定年義務化は今後あったとしても、国家公務員の定年65歳がスタートする2031年以降になるかと考えます。
ネットの記事は信憑性に乏しい。
玉石混合で怪しいことも多い。
そんなことがわかる事例でした。
餅は餅屋。
たくさんの情報が得られる時代ですが、その情報の洪水の中から、キュレーションし、適切な判断をする必要があります。
専門的な分野の判断は専門家へご相談することをお勧めいたします。
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