職場意識改善助成金【職場環境改善コース】のポイント
- 2018年3月17日 土曜日

こんにちは。社労士の志戸岡です。
昨年働き方改革の一環でお客様と取り組んだ「職場意識改善助成金」が無事審査も完了し、受給ができました。
こちらのページでは、私が実務で気づいた注意点やポイントなどをまとめています。
職場意識改善助成金とは?
助成金の概要や要件については厚生労働省のパンフレットやWEBサイトを参照下さい。
ざっくりというと、残業減らして、有給取得日数を増やすために実施する施策の費用の一部を助成するという、一部費用助成型の助成金です。
いくつかコースがありますが、私が取り組んだのは「職場意識改善コース」と呼ばれるものです。
今までの働き方を変えて、生産性を高めていきたいですよね~!
という中小企業にはタイムリーな内容になります。
具体的には、次のような事業をまず事業計画として検討しました。
1、労働者に対する研修、周知・啓発
2、外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング
3、就業規則・労使協定等の作成・変更(計画的付与制度の導入など)
4、デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
5、労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新
全体のスケジュールはどんな感じだったか?
生の情報をお伝えしますと、私の事例では以下のようなスケジュールで進めていきました。
①H29年5月頃:お客様と事業計画の打合せ
↓
②H29年6月:労働局へ事業の認可申請
↓
★③H29年7月:事業認可のための事業所現地調査
↓
④H29年8月:事業認可通知が到着→事業開始!
↓
⑤H29年8月~H30年1月:計画していた事業を実施
↓
⑥H30年1月:労働局へ事業終了後の実績報告
↓
⑦H30年3月:支給決定通知が到着。受給決定。
率直にいって、非常にボリュームのある、歯ごたえのあるプロジェクトでした。
まず大変だったのが事業認可のためのハードルで次の二つです。
●事業実施に関わる相見積書
●事業所への現地調査
事業実施に関わる相見積書
見積書は必ず2社以上が必須。何が大変かといえば、見積内容や書き方です。
原則として同じ項目でなければ比較対象にならないという審査基準がありますが、例えば働き方改革のコンサルティングを外部の専門家へ依頼すると、コンサルティングの中身はコンサル会社によって当然異なるわけです。
そんなわけで、用意してもらった見積書がこれでは比較できない、ということでハネられることになります。
研修事業についても同様です。
かなり細かく指定をしないと、各社まちまちの見積書が届き、大変苦労します。。。
デジタコのような「商品」の見積書であれば簡単に比較ができますが、研修やコンサルといったサービスは、そもそも形がありませんので、見積書の記載方法、内容は注意です。
申請書の作成は社労士側でできますが、どこに発注するのかを検討し、見積書を複数そろえてもらうのはお客様にやってもらうしかありません。この点はじっくりと説明し、手戻り作業がないように進める配慮が必要な点でしょう。
また、助成金事業ということで、クオリティは全て度外視で絶対に1番安い業者に発注しなければいけません(笑)
いわゆる入札と同じ考えです。これは絶対要件で、1円でも高かったらその業者では事業認可がおりません。
事業認可の際の事業所への現地調査
これは全てのケースで実施しているわけではないと思います。あくまでも私が取り組んだ事例の一つです。
今回事業にチャレンジしたお客様の事業所では残業時間がかなり多いという実態がありました。
だからこそ、助成金を活用し生産性をアップし長時間労働を削減したい!と思っていたわけです。
現地調査では監督署の調査と同じような帳票類のチェックと実態の把握がなされました。
中でも、やはり勤怠書類と36協定の運用方法はかなり詳しく、厳しく調査がなされました。
・社員代表者の選出方法は適切か?(証明するログがあるか?)
・36協定の限度時間が月、年ともに超えていないか?
・特別条項を適用する際の運用は適切か?(証明するログがあるか?)
36協定を届出はしているものの、形骸化しているような会社もあるはずですが、それでは厳しいでしょう。
適切に運用しているというログがあるか?という点は行政調査の際には非常に重要です。
その他、いろいろなヒアリングを実施し、後日事業認可がおりOKとなりました。
他の助成金とのバッティング・重複する事業
上記の事前現地調査の際に労働局の担当者と話し合いで他の助成金との重複事業は認可が下りない、という話がでてきました。
具体的に、私が取り組んだケースでは東京都の働き方改革奨励金事業を並行して走らせており、以下2点が重複となり、結果的に助成金としての事業計画から外すことになりました。(実施はするけど支給対象の事業からははずす)
2、外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング
3、就業規則・労使協定等の作成・変更(計画的付与制度の導入など)
労働能率の増進に資する設備・機器はオリジナル資料
ITやクラウドを利用して業務効率を目指す、というのは今の時代の主流なわけですが、この事業の認可をもらうには、いかにその設備・機器・ソフトを導入することで業務効率が図れるかを行政に理解してもらう必要があります。
私が取り組んだプロジェクトでは行政側にその良さを理解してもらうために、お客様からかなり詳しくヒアリングをし、提案書のような形で導入の意義が伝わる書面を作成致しました。
必須の添付書類ではないとは思いますが、あった方が絶対に良いしわかりやすい、という声も窓口の担当者の方から頂きました。
事業実施の際の注意点
いくつかありますが、特に大事な点は以下です。
●注文など事業実施に具体的に動くのは事業の認可が下りてから!
→認可決定日より先に発注してしまったら全てアウト!
●常に実施した際の日時を意識した書類を整備しておくこと
→いつやったのか?が客観的にわかる資料を整備すること
資料作成で具体的に注意すること
●会議の記録
議事録や写真についても毎回整備する必要がありますが、議事録は参加者、打合せ内容を簡潔にまとめ、毎回労使の署名・捺印をしておきます。
また、写真もいつの写真かがわかるように、できればカメラの設定で日付が印字されるようにし、実施日がわかるようにしておきます。
●社内周知資料
社内周知する必要がある資料については、一目瞭然に回覧した際に確認日と署名・捺印を社員からもらうように工夫しておきました。これをやっておけばいつどんな書類を周知したかのログとなります。
●研修事業の資料
今回私自身が研修講師を務め、働き方改革の研修を実施したのですが、用意したのは①研修レジュメに加え、②参加者リスト、③参加者へのアンケート、④研修実施の報告書(事業主が捺印したもの)です。あと、お客様のご厚意により、研修当日にビデオ撮影も実施しましたが、さすがに映像資料は提出は不要でした。
取り組んでみた感想
大変でしたが、非常に経験値になるプロジェクトでした。
チャレンジする方にとって本記事が何か参考になれば幸いです。
なお、弊所では助成金は顧問先、かつ、労働関係法令を遵守していると判断できる会社にのみサービス提供しております。(助成金のみのスポット業務は受け付けておりません)
●なぜ顧問先にしか助成金業務をやっていないのか?についてはこちらの記事
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