職場の大きな問題「ハラスメント事案」の対応法
- 2021年7月8日 木曜日

こんにちは。社労士の志戸岡です。
先日、厚生労働省から毎年発表されている統計調査の1つである個別労働紛争の調査結果が出されました。
〇資料出典:厚生労働省 プレスリリース 令和3年6月30日
「令和2年度個別労働紛争解決制度の施行状況」
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000797476.pdf
民事上の個別労働紛争や主な相談内容は、昔と変わり、ここ最近は「いじめ・嫌がらせ」がトップの相談内容となっています。
昔は解雇などが多かったのが時代によって相談内容も変わってきています。
今日はこの「いじめ・嫌がらせ」に関わるハラスメント対応についてご案内です。
ハラスメントの相談や疑い事案が起こったらどうする?
社員からハラスメントの相談を受けたときや、社員との話の中でハラスメントかもしれない・・・という疑惑がでた場合のおおまかな対応法は以下のフローによります。
1、事実確認
↓
2、ハラスメントの判定
↓
3、処分の検討、実施
↓
4、再発防止策の検討、実施
まず最初にやるべきことが、事実の確認です。
この事実の確認は、必ず以下の3者の視点から行います。
1)被害者と思われる人物
2)加害者と思われる人物
3)第三者の人物
ここで、ほとんどの場合、2)の加害者と思われる人物から話を聞いても、「自分は言っていない」、「やっていない」、「そんなつもりで言っていない」と反論されてしまいます。
ここで1)の人物から音声データなどの物証がでればわかりやすいのですが、なかなかそんな準備をしている人は少数派といえます。
そのため、3)の第三者の人物の声が事実認定では重要になります。
逆に、3)の第三者の聴き取りがないと、結局ハラスメントの事実があったのか、なかったのかよくわからないことがあります。
3者の視点でヒアリングをした後は、その内容から、ハラスメントに該当すると認定するのか、しないのか、疑わしいがグレーゾーンとするのか、会社の判定結果を決めます。
その判定結果により、ハラスメントの事実があったとする場合は、今度は加害者となった社員に対して、就業規則に則り、懲戒処分のどの処分を適用するかを事案の状況、内容に応じて決定します。
ハラスメント事案は明らかにクロ、加害者が一方的に悪いという場合もあれば、そうではない場合もあります。
セクハラ、パワハラ、マタハラなどハラスメントの種類によっても、それぞれ異なります。
そのため、ハラスメントの場合の妥当な懲戒処分の程度、というのはありません。
個別の状況によって、軽い処分から重い処分まで検討することになります。
疑い案件でも、再発防止策は大事
対応フローの最後に、再発防止策の検討・実施です。
この再発防止策の検討・実施は意外に忘れられがちですが、例えば、ハラスメント認定によって、判定が「グレー」という結果になったとします。
(行為の事実はあったものの、その事実がハラスメントとは言えないような場合など)
このような場合でも、何をもってハラスメントと感じるかはかなり個人差があるため、どこからハラスメントなのかを社内で共有するきっかけにし、同じようなことが起きないよう再発防止策を実施することも求められています。
〇実際はハラスメントなのに、ハラスメントの認識がない人
〇実際はハラスメントではないのに、ハラスメントを受けたと考えている人
職場にはこの両者が混ざり合っています。
職場が多様化すればするほど、価値観や常識も様々になってきています。
ハラスメントを恐れすぎると、人と人との距離感が離れてしまい、必要なコミュニケーションや指導もできなくなる恐れもあります。
上司は時には部下に厳しいフィードバックをすることも必要です。
このあたりの匙加減、非常に難しいですが、
厳しくとも、風通しのいい職場が増えて欲しいですね。
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さて、今日のハラスメントの記事はいかがでしたでしょうか?
お客様より、ハラスメントの研修の相談などについてのご相談を受けることもあります。
専門家によるハラスメント研修は、やらないよりは当然やった方がいいですが、やったからといってハラスメントのない職場に効果があるかといえば、微妙なところです。
それよりも、私がお勧めしたいのは社内のアンケートです。
こういうものはハラスメントに当たるから注意しましょう!という教科書的な検収よりも、自社に潜在的に隠れているハラスメントを社内アンケートであぶり出す方が、各社の実態に合っている気がします。
このアンケートの内容を踏まえ、各社にあわせた対策を実施することをお勧めします。
弊社ではこのような社内アンケートの作成段階からのサポートや、その後のアンケート結果に応じたサポートなども実施しています。
労務相談に対するクライアントのニーズは本当に様々です。仕事の幅も非常に広いですが、やりがいにも繋がります。
お客様の職場環境整備のサポートをしたい!そんな考えを持って社労士を目指す方の応募をお待ちしております。

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