20年ぶりに脳・心臓疾患の労災認定基準が改定
- 2021年9月22日 水曜日

こんにちは。社労士の志戸岡です。
本日は、まずは活動報告です。
今月は東京都からの委嘱を受け、感染対策をしっかりして頂いたうえで、9/9、9/16と2日間、研修講師の仕事をしておりました。
※今回の題材は私の専門の「就業規則」でしたので力が入りました。
※来月は派遣法で2日間また登壇します。
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/seminarform/index/detail?kanri_bango=seminar-zchuo-001143
さて、本題です。
本日は長時間労働、過労死に関わる労災認定についてのお話をご案内します。
長時間労働に伴う労災認定は、今から約20年前に、「脳・心臓疾患の労災認定基準」(これがいわゆる過労死認定基準)と呼ばれる基準をもとに労災認定の判断がなされてきました。
この度、20年ぶりにこの労災認定基準が改定されることになりました。
(令和3年9月14日付け)
〇参考資料 厚生労働省「脳・心臓疾患の労災認定基準の改正概要」
(令和3年9月14日付け基発第0914第1号)
https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/000832041.pdf
改定の背景となったのは、長時間労働の時間数のみで判断をすることが難しくなってきた、ということがあります。
労働には「量」と「質」という視点があります。
従来の労災認定基準は、労働の「量」にフォーカスをあて、単月100時間又はアベレージで1か月80時間を超える時間外労働がある場合は、業務と疾患との関連性が強いと評価できるという指標を浸透させることになりました。
今回の改定では、上記の「量」以外の「質」の面やその他の状況にも目を向けて、「労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することが明確化」されました。
つまり、簡単にいえば、今までの基準に加えてさらに「厳しい判断要素」が追加されたことになります。
個人的な見解としては、「勤務間インターバルが短い勤務」が評価対象として追加されたこと、また、「深夜時間帯に及ぶ時間外労働」が業務と発症との関連性が強いと判断される事例に例示されたことからも、インターバルと深夜労働は今後の注意点になってくると判断しています。
勤務間インターバル制度は現在は努力義務ですが、今後は中期的には導入することを検討する価値がでてきているように思います。
また、「テレワーク+フレックス」で労働者に自由度を与えすぎると、深夜勤務帯に働くスタイルが増えることが考えられます。
そういった働き方は、自由度がある反面、リスクにもなり得ることを踏まえると、やはり完全テレワーク+フレックスであっても勤務時間の制限はあった方がいいと感じます。
労働時間への制限はきつくなる一方です。
中小企業は、月60時間超の時間外労働の割増率50%の改定が2023年4月1日からと、もう1年半後に迫っています。
今後ますます、短時間で成果を出すための生産性が重要になってきますね。

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