「仕事能力の向上を実感したことが無い」人がたくさんいるという事実
- 2021年11月10日 水曜日

こんにちは。社労士の志戸岡です。
今日は統計資料をもとにした人事マンの主張です。辛口になったらごめんなさい。
今回ご紹介する統計資料は、日本生産性本部の「第7回 働く人の意識調査」です。
20歳以上の日本の企業・団体に雇用されている人を対象にインターネットを通じて実施されたものとなります。
〇引用資料:公益財団法人 日本生産性本部
第7回 働く人の意識調査 調査結果レポート
https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/7th_workers_report.pdf
ご紹介したい点は、人の成長に関するレポート部分です。
キャリアアップや成長の欲求はある
私自身、自社で採用面接を繰り返すうちに、キャリアアップを図りたい、成長したい、スキルを身につけたい、という声を応募者の方からよくお聞きします。
また、実際に入社してから自社のスタッフからも、そして、お客様のご担当者などからも、そういった成長やスキルアップの要望の話を聞くことも多いです。
人にはキャリアアップしたい、成長したいという欲求事体はあるわけです。
ところが、この統計資料の中で、自分自身の仕事能力の向上を実感した「きっかけ」に関する回答が何とも寂しいです。
この回答結果の1位は、「仕事能力の向上を実感したことがない」というもの。(43.0%)
「仕事能力向上を実感したきっかけ」という質問への回答状況
※詳細はレポート12ページの図37を参照。
・43.0% 仕事能力の向上を実感したことが無い
・18.6% 従来よりレベルの高い業務を担当した
・17.4% 仕事で学んだことを実際に活用できた
・16.4% 従来とは分野の異なる業務を担当した
・11.0% 昇進や昇格を経験した
成長を実感する人が少ない原因
成長したいという要望や欲求を持つ人はもっと多いはずなのに、なぜこんな結果になってしまうのか?
その明確な原因が別の項目ででていました。それはキャリアプランです。
自身について、「明確なキャリアプランを思い描いている」のは男性 7.3%、女性 3.2%となっています。
「大まかなキャリアプランを思い描いている」に広げても、男性 29.3%、女性 22.8%しかいません。
※詳細はレポート9ページの図26を参照。
こうなりたい。こういう風になっていきたい。
自分のキャリアに対して明確な願望、明確なビジョンがなければ仕事の能力が向上しない、向上を実感できない人が多いのは当たり前です。
将来へのビジョンがなければ、そもそも何をやるべきかがわかりません。
何を努力すればいいのかもわかりません。
努力していたとしても、その努力の方向がおかしな方向になっているかもしれません。
安定して、食えればそれでいい。
とりあえず正社員としてクビにならずに、普通の評価で残業も少なければそれでいい。
自身のキャリアを考えずに適当に過ごしていると、年齢が若いキャリアの前半戦は何とかなりますが後半戦で苦労します。
これは私の考えですが、サラリーマンの方はもっと自分がどうなりたいか、どういう働き方がしたいのか考えた方がいい。
そして、今は夢物語であっても、「こういう働き方がしたい」という夢に少しでも近づけるように、仕事を覚え、スキルを高めていけばいい。
残酷かもしれませんが、自分が望む働き方ができるのは自分に力がある人だけです。
※これはサラリーマンも個人事業主も一緒ですね。
キャリアプランを自分で考え、そのプランにそって力をつけていくことで、選択肢が増えていきます。
だからこそ、自分が望むキャリアを実現するためにも、戦略的に職業能力を開発する必要があります。
統計調査の結果をみて、これが今の日本の現状だと、改めて感じました。
だからこそ、やっぱり、
・人事評価制度の仕組みはあった方がいい
・企業内でキャリアについて相談できる人はいた方がいい
・上司は部下のキャリアの相談に乗れるスキルが必要
・上司自身も自分のキャリアを改めて考えて欲しい
こういったことを強く思いました。
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